頭痛とは

頭痛とはその名の通り頭が痛い状態のことで、誰しも一度は経験したことのある症状かと思います。頭痛には一時的なものもありますが、慢性的に頭痛が起きるという場合、一次性頭痛か二次性頭痛の可能性があります。

一次性頭痛と二次性頭痛

一次性頭痛は頭痛そのものが病気とされるもので、二次性頭痛は何らかの脳疾患(脳血管障害など)によって引き起こされる頭痛です。注意する必要があるのは後者の二次性頭痛ですが、一次性頭痛であっても日常生活に支障をきたすほどの痛みが出ることがあります。繰り返しの頭痛に悩まされている場合は一度ご受診ください。

一次性頭痛

一次性頭痛は、主に3つのタイプ(片頭痛、緊張性頭痛、群発頭痛)があります。どれも頭痛が主な症状ですが、発生部位や痛みの内容などそれぞれ異なります。

片頭痛
片頭痛とは

片頭痛とは脳内の血管が拡張することで発生する頭痛で、こめかみの片側あるいは両側から目にかけてズキズキとした痛みがみられます。なお片頭痛は、痛みが出始める前に目の前にフラッシュのような光が瞬く、閃輝暗点(視界の一部が見えにくくなる)といったものが現れることもあります。
片頭痛が起きると数時間から2~3日は続くとされ、その際は強い痛みが出るほか、吐き気も伴うなどして日常生活にも影響が出るようになります。なお発症の頻度は人によって様々で、週1回の頻度で起こる方もいれば、月に1回程度の方もいるのが特徴です。

発症の原因

発症の原因は現時点で特定されていませんが、喫煙・飲酒、ストレス、チラミンを含む食品(ワイン、チーズ、レバー、チョコレート など)の摂取、女性ホルモンのバランスの変化などが挙げられています。女性の患者様が多く、30代女性の20%近くの方が片頭痛の症状に悩まれています。

治療方法

治療方法は主に2つあります。ひとつは片頭痛の発作を抑える治療(頓挫療法)です。もうひとつが片頭痛を予防する治療で、どちらも薬物療法です。発作を抑制する治療では、トリプタン系製剤を使用します。効果が乏しければ、エルゴタミン製剤を使用します。また、片頭痛を予防する場合は、降圧薬をはじめ、抗うつ薬、抗てんかん薬などが用いられます。

※片頭痛の注射薬について
日本で使用可能な片頭痛予防注射剤は「エムガルティ」「アイモビーグ」「アジョビ」と3種類あります。
当院では3種類とも処方しております。
緊張性頭痛
緊張性頭痛とは

長時間同じ姿勢を保ち続けることによる血行障害、ストレス、頭部あるいは後頭部から首にかけての筋肉が緊張する、といったことが引き金となって発症する頭痛が緊張型頭痛です。これは世代や性別に関係なく発症するもので、頭の周りが締め付けられるような痛みが数時間~数日程度続くようになります。このほか、肩こりや首などのこり、めまいなど頭痛以外の症状もみられます。

治療方法

緊張性頭痛には特効薬のようなものはございません。そのため、強い痛みがある場合は、対症療法としてNSAIDsなどの痛み止めや筋弛緩薬を使用し、症状を和らげていきます。またストレッチ、入浴、身体を適度に動かすなど、過度に緊張を高めない予防対策も必要です。

群発頭痛
群発頭痛とは

目のくぼみ(左右どちらか一方)からこめかみの部分にかけて、まるで突き刺すような激痛に襲われてしまうのが群発頭痛です。群発頭痛は一度起きてしまうと1~2ヵ月の間、1日1~2回程度、頭痛は15分~3時間程度の頻度で症状が続きます。発症のタイミングについては毎日似たような状況下で起きると言われています。なお同頭痛は一度治まってから半年~数年ほど経過した後、再び起きるようになります。

発症の原因

発症の原因は現時点で明らかになっていませんが、頭部の血管拡張が関係しているとされ、アルコールや喫煙、急激な気圧の変化などによって引き起こされるのではないかと考えられています。この頭痛は、20~40代の男性患者様が多くいのも特徴です。

治療方法

喫煙や飲酒をされている場合は、禁煙と禁酒をまず実践します。また頭痛の発作を抑える治療としては、トリプタン系製剤の皮下注射や純酸素吸入法などを行っていきます。

二次性頭痛

原因が特定できる頭痛のことで、症候性頭痛とも呼ばれています。この場合、くも膜下出血などの脳血管障害(脳出血、脳梗塞)や脳腫瘍によって頭痛の症状がみられることもあります。頭部CTなどの検査で分かります。また薬物を乱用したことで現れる頭痛(※薬物乱用頭痛)のほか、頭部の外傷、感染症(脳炎、髄膜炎 など)、自己免疫疾患といったことが原因でみられる頭痛も含まれます。
これまで脳の疾患とは全く縁はなかったものの、強い頭痛の症状が出るようになったのと同時に手足に麻痺やしびれ、嘔吐や発熱もみられるという場合は、何らかの重大な脳疾患を罹患していることも考えられます。上記のような症状に心当たりがあるという場合は、一度当院をご受診ください。

※薬物乱用頭痛
薬物頭痛薬を飲む回数が増えて、そのことで頭痛の症状が悪化・慢性化してしまっている状態で、薬剤の使用過多による頭痛です。頭痛薬を常用していると脳が痛みに過敏になり、ちょっとした刺激で強い痛みを感じるようになります。結果的に頭痛が起こる回数が増えて痛みも強くなり、症状を悪化させます。薬剤によるものということを知らずにいると、頭痛薬を飲む頻度が増えてさらに頭痛が悪化して、薬の効果もさらに薄くなります。頭痛薬を毎月10回以上飲むという場合は、薬物乱用頭痛の可能性があります。
片頭痛や緊張型頭痛などの頭痛がある方の発症が多く、市販薬によるものがほとんどを占めます。医師が処方する鎮痛薬でも薬物乱用頭痛になる可能性はあります。常用している頭痛薬が、複数の主成分を持っている場合、そしてカフェイン(無水カフェイン)が含まれている場合は薬物乱用頭痛になるリスクが高いとされています。市販の鎮痛薬の大部分に、カフェインが含まれていることは、注意が必要です。たくさん内服した場合、時に薬そのものよりも、カフェインが過量になることが問題となります。