頭部打撲・頭のけがとは
何かしらの外力が頭部に加わることで、頭部の皮膚が損傷(切傷、挫傷、皮下血腫 など)、頭蓋骨骨折、脳損傷(脳挫傷、脳内血腫、脳震盪、びまん性脳損傷 など)といった外傷を負っている状態です。ちなみに外力とは、転倒・転落、打撃、交通事故などで引き起こされる力学的な損傷のことなどを言います。
以下のような症状がある場合は一度ご受診ください
- 吐き気を催し、嘔吐を繰り返す
- だんだん頭痛がひどくなる
- 意識が朦朧としている
- 手足を動かしにくい
- 物が見えづらい
- けいれんが起きている
- 出血がひどい
- たんこぶがよくならない
- 血液混じりの水が耳や鼻から出た
- など
一次性脳損傷と二次性脳損傷
なお、頭部外傷は大きく以下の2つのタイプに分類されます。
一次性損傷(直接的損傷)
直接的な外力を頭部に受けて損傷したというケガのことです。頭皮など軟部組織の損傷、頭蓋骨骨折、脳挫傷(頭部への強い衝撃によって脳に損傷や出血が出ている)、びまん性軸索損傷(頭部外傷後に検査をしても脳内出血等の異常はないが、意識障害が数時間以上続く)などがこれに当たります。
二次性損傷(間接的損傷)
頭部外傷後に起きた脳内出血や浮腫の増大、低血圧、低酸素、頭蓋内圧亢進などによって脳損傷が拡大してしまっている状態で、頭蓋内血腫などがこれに当たります。二次性損傷を防ぐには、医療機関へ駆け込む前に現場での応急手当が必要で、気道の確保(口に異物がないか)、適切な呼吸、血液の循環(血圧を測定し、低い場合は足を拳上する)といったことを行うようにします。
脳損傷の可能性が高い場合は、頭部CTなどの検査をし、頭蓋骨の状態や脳内に血腫などがないかといった異常の有無を調べていきます。保存療法で十分な場合は、そのまま治療も行っていきますが、手術による外科的治療や入院加療が必要という場合は、当院と提携している総合病院や専門の医療機関を紹介いたします。
ちなみに軽度な頭部外傷(たんこぶができた、など)による軽度な痛みの場合、特別な治療を行わなくても問題ありません。ただし、傷口がある場合は何もしなければ髄膜炎や脳炎といった感染症に罹患する可能性も考えられるため、当院へ一度ご受診ください。
慢性硬膜下血腫とは
慢性硬膜下血腫とは比較的時間をかけてゆっくりと硬膜と脳の間に血液が貯留した状態です。
頭部の外傷(怪我など)がきっかけで発症します。非常に軽い外傷でも発症することがあります。きっかけとなった外傷から1~2か月後に、頭痛や麻痺やしびれ、物忘れや意欲の低下、失禁、見当識障害(時間・人・場所などがわからなくなる)など認知症状を起こすことがあります。以下のような条件に当てはまると発症リスクが上昇します。
- アルコール多飲
- 脳の萎縮が認められる
- 抗凝固剤の服用
- 水頭症の術後
- 透析を受けている
画像所見では、脳の表面と頭蓋骨の間に三日月型の血腫が認められます。そのため、頭部CTを実施することで、こうした所見がみられるかを調べます。
手術による血腫の除去が基本となります。局所麻酔でチューブを脳表面へと挿入して血腫を除去します。また、血腫の大きさや患者さんの状況によっては、漢方薬による内科的治療を選択することもあります。