動脈硬化症とは

動脈とは心臓から各器官へ向けて送られてくる血液の通り道のことです。動脈は、加齢に伴って柔軟性が失われ硬くなっていきます。すなわち、誰であっても動脈の硬化は年々進んでいきます。ただし、その進行速度には個人差があります。

糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病を発症している方やその予備群、肥満の方、喫煙者というのは、血管内にコレステロールが蓄積していくようになります。これを粥腫(じゅくしゅ)と呼びます。この粥腫によって血管内は狭まっていき、血流は悪化します。このようなことが原因で動脈硬化が必要以上に促進してしまった状態を動脈硬化症と言います。
症状に関しては、生活習慣病同様に現れにくいとされています。さらにコブのように盛り上がった粥腫をプラークと呼び、これが破れると血小板が凝集して血栓が形成されます。

上記のように血管が狭くなって血流が悪化したり、プラークが破裂して形成された血栓が血管の狭窄部に入って詰まるなどすると、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、脳血管障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)、閉塞性動脈硬化症といった生命に関わる重篤な病気を引き起こします。

血管の検査について

血管(動脈)の硬さや狭窄の程度を調べることができる検査があります。検査についてですが、ベッドで横になり、両腕と両足首の4ヵ所に血圧計を巻き、それらを同時に測定していき、血管の硬さ(PWV)、血管の狭窄状態(ABI)を確認していきます。
当院ではこの検査を行い、動脈硬化の程度(血管年齢)を測定します。

治療について

動脈硬化症の原因のほとんどは、喫煙と生活習慣病です。そのため、喫煙をされる方は禁煙するようにしてください。生活習慣病の患者様や予備群の方は、まず日頃の生活習慣を見直していきます。

例えば、過食を控え、栄養バランスのとれた食事を三食規則正しくとるよう努めます。また適度な運動は、脂肪を燃焼させ、血糖値、血圧、中性脂肪(トリグリセライド)の数値を下げ、HDL(善玉)コレステロールを増やす効果があるので、日常生活に取り入れていきます。運動の内容としては、有酸素運動が基本で、運動の程度としては息がやや上がるくらいで十分です。1日30分程度の軽度なジョギングでも効果があるとされていますので、できるだけ毎日行うようにしてください。

上記のような生活習慣の改善のみでは、血糖、血圧、脂質等の数値の改善が見込めない場合は、薬物療法も併行していきます。高血圧なら降下剤、糖尿病なら経口血糖降下薬、脂質異常症ならスタチンなどを使用していきます。これらによって目標値まで数値が下がるようになれば、動脈硬化の促進を抑制できるようになります。